呼吸音の聴診
専門的なアセスメント技術と、AIによる新たな観察形態。
周波数(Hz)特性と発生機序に基づく
正確なアセスメントのために
本ページでは、看護師や言語聴覚士(ST)が現場で実践している聴診技術の理論的背景を解説します。
副雑音の分類、頸部聴診法(CA)の観察ポイント、そしてAI活用による新しい観察形態について、
専門的な視点からアセスメントの手法を深掘りします。
このページでわかること(専門家向け)
- 正常呼吸音と副雑音(ラ音)の周波数(Hz)帯域の分類と一般的な発生機序
- 前胸部・背部・頸部における聴診部位の目安と観察手順
- 現場のアセスメント精度を均一化する、AI技術の活用法
周波数(Hz)と発生機序で紐解く呼吸音の分類
呼吸音の異常(ラ音)を適切にアセスメントするためには、音の高低(周波数)や連続性による分類を理解することが重要です。一般的に、以下の周波数帯域の違いが聞き分けの指標とされています。
| 分類 | 名称・聴こえ方 | 主な周波数帯域 | 発生機序・想定される状態 |
|---|---|---|---|
| 正常呼吸音 |
肺胞呼吸音 「サーッ」という柔らかい音 |
200Hz 以下 | 肺胞などの末梢気道における正常な気流の渦によって発生。吸気時に明瞭に聴取されます。 |
|
気管支呼吸音 「コーッ」という粗い音 |
200 〜 600Hz 前後 | 太い気管・気管支における乱流音。呼気・吸気ともに明瞭に聴取されます。 | |
| 断続性副雑音 (クラックル) |
水泡音(コースクラックル) 低調な「パチパチ」「ブツブツ」 |
500Hz 以下が強い | 気道内の分泌物貯留。空気が分泌物(痰など)を通過し破裂する際に生じる音とされます(誤嚥・肺炎などの可能性)。 |
|
捻髪音(ファインクラックル) 高調な「チリチリ」 |
広帯域のパルス波形 | 間質性肺炎等により、硬化した肺胞が吸気時に急激に開通する際の音とされます。 | |
| 連続性副雑音 (ウィーズ・ロンカイ) |
笛声音(ウィーズ) 高調な「ヒューヒュー」 |
主に 400Hz 以上 | 末梢の細い気管支の狭窄。気流が高速化し気道壁を振動させる音とされます(気管支喘息・COPDなど)。 |
|
いびき音(ロンカイ) 低調な「ボーボー」「グーグー」 |
200 〜 300Hz 以下 | 中枢側の太い気管支における分泌物貯留や狭窄等が原因で生じる音とされます。 |
正確なアセスメントのための聴診部位と手順
1 左右対称に聴き比べる(同名部位の比較)
肺野の聴診は、左右同じ部位(同名部位)を交互に、上から下へ比較しながら行うのが基本です。一箇所につき、少なくとも1呼吸「吸気・呼気」以上を聴取し、左右差、呼吸音の減弱、副雑音の有無を評価します。特に背部下葉は注意深く観察します。
2 頸部聴診法(CA)による嚥下・呼吸評価
言語聴覚士(ST)が嚥下機能評価の補助として用いる頸部聴診法(Cervical Auscultation: CA)は、不顕性誤嚥のスクリーニングの一助となります。頸部(輪状軟骨の側方付近)を聴診し、嚥下前後の呼吸音の変化(湿性ラ音やゴロゴロ音など)を確認することで、誤嚥や咽頭残留の可能性を推測します。
【本コンテンツについて】
本ページは、呼吸音の聴取に関する一般的な医学知識やアセスメント手法を解説するものであり、個別の症例に対する診断や治療の指針を提供するものではありません。
また、ご紹介するアプリ「AiTone」は、呼吸音の解析結果を表示し、日々の健康観察やアセスメントを支援するヘルスケアツールです。疾病の診断、治療、予防を目的とした医療機器ではありません。医療上の判断が必要な場合は、必ず医師の指示を仰いでください。
高度なアセスメントを、
現場の「全員」に要求できるか?
前述の通り、正常音と異常音(副雑音)は周波数(Hz)帯域や音の性質が複雑に絡み合っています。さらに、周囲の生活音が入る介護現場において、わずかなヘルツ数の違いや微細な水泡音を人間の耳だけで正確に検知するには、長年の訓練と「熟練の耳」が必要です。
人員不足や夜間帯の対応において、この高度なアセスメントを全てのスタッフに求めることは、現実的に難しい場面もあります。
「熟練の耳と周波数解析」を、
AiTone(アイトーン)がサポートします。
聴診器を使った高度な聞き分けスキルは不要です。
首元(頸部聴診のポイント)にスマートフォンを当てるだけで、AIが音声スペクトログラム解析を実施し、
目に見えない異常の可能性を可視化します。
AIによる周波数解析
人間の耳では迷うような帯域(200Hz付近の微細な変化など)の雑音も、AIアルゴリズムがデータとして解析します。
属人化の解消
ベテラン看護師でも新人介護職でも、AIが同じ基準でアセスメントをサポート。施設のケア品質が均一化します。
スマホを当てるだけ
専用の医療機器は不要。頸部にスマホを約10秒間当てるだけで、簡単に収音・解析が完了します。